2022年5月、私たちは新たな取り組みを始めます。
私たちの使命は、使い心地のよい製品を販売するのみにとどまりません。肌を整えて、気分を上向きにし、まわりの人を幸せにする。さらに、その先にある社会や地球そのものに至るまで、利益をもたらす存在でいられることを目指してきました。
よりよい社会のため自分たちに何ができるかを見つめ、考え、行動を起こす──そんな“アクティビズム”の精神とともに、私たちは歩んでいます。アクティヴィズムとは、社会や環境に対し公正であり、つねに能動的であろうとすること。つまりは、“何かが間違っている”と思ったとき、積極的に声をあげることを意味しています。
私たちは、社会活動や環境活動の専門家ではありません。でも、なんらかの問題を解決するために思慮深く考え、それをシェアして、同じ信念を持つ人たちとともに立ち上がることは可能です。それは例えば店頭やSNSにおける発信であったり、変えていくべき法律や政策について活発な議論を交わす場を設けることだったりするでしょう。時にはNGOや非営利団体、政府にシンクタンクといったほかの組織と、パートナーシップを組むことも。立ち止まらずに変化を起こしていくことが、ゆるぎないモットーです。
ザボディショップが次に見据える、若者の未来
改善が必要と思われるさまざまな問題に対して、これまでにも具体的な目標を設定し、能動的に行動を起こしてきたザボディショップ。そんな私たちが次に皆さんへ問題提起し、共に考えていきたいのは、未来につながる若者たちの政治参画についてです。
先進国では高齢化が進み、若者の数が減ってきていると報告されていますが、国連の推計世界的に見ると6人に1人が15〜24歳の年齢層に属するといわれています。さらに30代以下の割合は、世界人口の49%。地球上の人類の約半分が、ヤングジェネレーションと呼ばれる世代に分類されるのです。デジタルネイティブでもある彼らは環境問題や政治についての関心が高い傾向にあり、SNSでの発信はもちろん、デモや抗議行動に参加する学生も多いとか。今、私たちが築こうとしている未来は、そんな若者たちのためにあります。なぜなら、これから起こることの結果が反映された社会を実際に目の当たりにするのは、まさしく次世代を生きる彼らなのだから。未来をいわゆる“自分ごと”として捉えられる若年層が、地球環境やサステナブルの問題にとりわけ関心を抱くのは、ごく当然のことなのかもしれません。
ですが、その未来を方向づけていくための政治へ、若者は十分に参加できているといえるのでしょうか?この疑問が、次なる私たちの“行動”の指針を決定づける大きなテーマとなっていったのです。
若者と社会のつながりを、もっと親密に
世の中をよりよくするために機能すべきとされている、政治。ですが、大統領や総理大臣といった重要な役職を務める世界のリーダーたちの平均年齢が、いったい何歳なのか知っていますか?答えは、62歳※1です。また、世界の国会議員のうち、30歳以下の若い議員の割合は、たった2.8%※2であることが報告されています。それは、参議院に立候補するための被選挙権が、30歳にならないと得られないということも理由のひとつかもしれません。衆議院の場合はこれが25歳へ下がりますが、それでも立候補するためには経済面などの負担が大きく、圧倒的に不利な立場に立たされてしまうのだといいます。
ところがこの枠組みを世界に拡げ見てみると、投票へ行くための選挙権だけでなく、被選挙権も18歳で得られるという国が27.8%※3だそう。機会が与えられれば、もちろんそれだけ、モチベーションや可能性も高まります。若者の意見を重んじ、彼らの積極性を伸ばしていきやすくするための土台の整備が、すでに各国で始まっているといえるのではないでしょうか。
もちろん、年齢だけがすべてではありません。経験豊かな世代の思慮深さや深い知恵にはいつだって尊敬の念を抱くべきですし、学びたいところは多く存在します。それでも、社会問題を比較的長いスパンで捉えることができ、未来を直接担っていく若者たちが、もっと気軽に社会との親密な関係を築けたなら。時勢に対して意欲的に目を光らせ、のびのびとしたパワーを発揮していくことができたなら。未来はもっとずっと、明るいものになっていくと思いませんか?そのために、ザボディショップはみなさんとともに行動を起こし、手助けをしていきたいと強く考えているのです。
※1 Date on youth participation | Inter-Parliamentary Union (ipu.org)
※2 REIGN Dataset
※3 「諸外国の選挙権年齢及び被選挙権年齢(PDF)」『レファレンス』第779号、国立国会図書館
私たちが目指す、具体的なゴール
あくまでコスメブランドである私たちにとって、売上げの一部をチャリティーに寄付したり、1年に1度だけ訪れるなんらかの記念日を祝うことで”アクティビズム”謳うのは、容易いことかもしれません。でも、ザボディショップはけっしてそうではなく、明確なゴールを定めそこへ到達するまでのさまざまなアプローチを行うことをブランドにとっての信条としています。
今回日本で目指す”若者の政治参加に向けた支援”のためには、ひとつの大きな目標として、まず”被選挙権の年齢の引き下げ”を掲げることといたします。そこで、若い世代の声を政治に反映させるために邁進している一般社団法人「日本若者協議会」の活動に賛同。キャンペーンで展開するスペシャルキットの売上げの一部を、彼らが行っている、被選挙権の年齢引き下げを求める法案成立に向けた活動の支援に充てることを決めました。さらにボディショップでも、被選挙権年齢引き下げ法案成立を後押しするため、オンライン署名を集めています。
公式HPには「Be Seen. Be Heard. 若者のパワー、未来の可能性へ」キャンペーンのスペシャルページをローンチし、世の中がどんな社会になってほしいかを自由に書きこめる掲示板を設置したので、ぜひ来訪を。”自分はいったい、どんな変化を求めている?”──そう考えてみることこそ、勇気ある行動の第一歩となっていくのです。
ザボディショップが掲げる”アクティビズム”
能動的に行動するからといって、特定の正党や思想を無条件に指示したり、政治に直接口出ししたりするつもりはありません。ただアクティビズムは、私たちの大切なブランドDNAの一部であり、私たちを定義する要素の一つなのです。これはいわば、私たちを際立たせる”個性”のひとつであるともいえるでしょう。
ザボディショップの創始者であるアニータ・ロディックは、「ビジネスには世界をよくする力がある」と考えていました。事実、私たちは早い段階から、動物実験の反対やコミュニティフェアトレードなど、企業としての社会的責任を果たすための取り組みをおこなってきています。誰もが平等に扱われ、人間の生活が自然界と調和する、公正で美しい世界。単にコスメを販売して利益を得るだけではなく、社会にとって大きな利益のために働いてきたのが、ザボディショップなのです。
真のアクティビズムとは、社会と環境に具体的な改善をもたらすもの。自分も周囲もポジティブに変わっていくための方法を、私たちと共に探していきましょう。
多方面に向けた画期的アプローチの歩み
ここで、ザボディショップがこれまで過去に取り組み、達成してきた内容の一部をご紹介。1976年の創業以来、様々な社会的懸念に対する立ち位置をはっきり示し、目に見える変革のために動いてきました。最も初めに行われたのは、1986年の「クジラを救おう」キャンペーン。環境保護団体である「グリーンピース」とタッグを組んだ、初の大規模な試みとなりました。
その他、ブラジルの熱帯雨林の焼き払い反対を呼びかける「ストップ・ザ・バーニング」キャンペーンや「地球温暖化防止」キャンペーンなど、環境保護関連のものも多数ありました。
また「家庭内暴力根絶」キャンペーンや、子どもの人身売買に警鐘を唱える「トラフィキング反対」キャンペーンといった、社会の闇に焦点を当てたものもありました。最も大きな成果をあげたのが、「化粧品の動物実験反対」キャンペーンです。運動を開始してから8年後、ブランドの本国、イギリスでは実際に化粧品や使用成分の動物実験が禁止される運びに。ザボディショップが声をあげた内容が、今ではほぼ当たり前のこととして受け入れられています。2017〜2018年のキャンペーンでは、15カ月間で過去最多の830万筆の署名を集め、この価値観が世界基準となるようにCFIl※とともに国連本部へ提出しました。
疑問と思う現状に対し、これほどまでに率直な態度でクエスチョンを提示し積み上げてきた豊かな成果は、いまやザボディショップの伝統の一部となっています。キャンペーン実施中はいつもたくさんの賛同をいただき、「テーマに対して興味を持つきっかけになった」という声があちこちで聞かれますが、私たちのこの伝統をすべてご存知の人はまだ多くありません。せひこれを機に、さらに興味を持っていただけたら幸いです。
※クルーエルティフリーインターナショナル
愛用することで未来を生み出すアクションを
アクティビズムに参加するスタイルは、人ぞれぞれ。私たちはその多様性を好ましいと感じています。デモや抗議活動に参加する方法もあれば、仲間と集まりディスカッションするという手段や、日々の生活の中で意識的な選択をすることで、自らの意思を社会に反映させていくやり方もあります。理念に賛同できる企業の製品をセレクトすることもそのひとつ。ザボディショップのプロダクトを手に取るだけで、みなさま自身の意思表示ができるような製品企画を、私たちは追求していきます。美しさを高め、肌によい状態に導くアイテムを愛用することで、社会をよりよく導く活動にもコミットできる。ぜひ、そんなアクティビズムを今から始めてみませんか?
”───────────
物事を知ろう
違和感を感じよう
刺激を受けよう
行動に出よう
───────────”
ザボディショップ創業者
アニータ・ロディック
※本キャンペーンに関する私たちの目的はこちらからご参照いただけます。